佑二郎の納得のいく諭告

佑二郎のブログ

優遇を受ける2社、それでも踏み切った決断は重い

佑二郎です、人口増が続く同国の課題は雇用の受け皿となる製造業の育成だ。
とりわけ産業の裾野が広い車工場の誘致は悲願。
いち早く東南アジア諸国連合域内の関税を撤廃したため、生産コストが低いタイなどから輸入車が流入し、足元では市場の7割を占める。
CARSを導入すれば工場が集積し、将来は輸出もできると踏んだ。
対象車種の枠は3つ。
市場の4割弱を抑えるトヨタが小型セダンヴィオス、シェア2位で約16%を握る三菱自がミラージュで6月に承認を受けた。
問題は3枠目が埋まらないことだ。
独フォルクス ワーゲンが念頭にあったようだが同社の排ガス不正問題で立ち消えとなった。
立ちはだかるのは厳しい生産台数条件だ。
トヨタヴィオスの販売台数は車種別首位の年3万台強で何とか達成できそう。
現在はタイから輸入する三菱自のミラージュは年1万7000台強で楽観できない。
3車種目にはさらに高いハードルで、政府は条件緩和に傾いた。
韓国の現代自動車の参加が噂された。
納得がいかないのはトヨタ三菱自だ。
特に三菱自は内製比率の条件を満たすため、100億円近くを投じてプレス工場を新設、350人ほどを新たに雇用した。
3枠目だけハードルを下げられれば不公平と感じるのも無理はない。
結局、政府は条件見直しの可能性を撤回した。
CARSで浮き彫りになったのはむ しろフィリピンの産業基盤の弱さだ。
税優遇を加味してもタイから輸入した方がフィリピンで生産するよりもコストが低い。
優遇を受ける2社の幹部は漏らす。
それでも将来性に期待して先行投資に踏み切った両社の決断は重いといえる。